「調べても農家向けの制度ばかりで、自分が使えるのか分からない…」
そんな岩手県の方へ、市ごとに“誰が使えるか”までまとめました。
岩手県でクマ対策の柵に一般の人が使える補助は、ほとんどありません。多くの市が「農業を営む人」限定だからです。そのなかで、農家でなくても使えるのが花巻市。ただし補助ごとに使える人が違います。クマ撃退スプレーは市内在住の18歳以上の個人が対象、電気柵の資材やカキ・クリの伐採は市内の土地の所有者・占有者(土地を実際に使っている人)・管理者が対象です。いずれも農業者かどうかは問われません。しかも令和8年度(2026年度)からは通年受付になり、件数制限もなくなりました。岩手で「農家でない自分が使える制度は?」と探すなら、まず花巻市が答えです。
- 岩手県内10市の電気柵・柵補助を「農家限定か・一般住民も使えるか」で一覧化
- 花巻市の制度(18歳以上の個人可・スプレー/電気柵/伐採の3本立て・通年受付)
- クマ対策が最も充実した北上市のパッケージ
- 奥州市・遠野市の“予算枠の落とし穴”と、久慈市で見つからなかったときの問い合わせ先
※ 各市の公式サイトをもとに作成。確認日:2026年7月12日時点。数値・対象は変更される場合があるため、申請前に各担当課で再確認してください。
まず結論:岩手で“農家でない人”が使えるのは花巻市
→ 農家でなくても使えるのは花巻市です。ほかの多くの市は農業者限定でした。
岩手県内で確認できた10市のうち、電気柵に補助があるのは9市。ただし、その多くは「市内で農業を営む個人・団体」が条件です。庭や自宅まわりのクマ対策として一般の住民が申し込めるのは、確認できた範囲では花巻市だけにしぼられます。
花巻市の強みは、対象者の広さです。ただし3つの補助で、使える人が少し違います。クマ撃退スプレーは、市内在住の18歳以上の個人と、市内の事業所・団体の職員が対象。電気柵とカキ・クリの伐採は、市内の土地の所有者・占有者(土地を実際に使っている人)・管理者が対象です。いずれも農家であるかどうかは問いません。しかも制度がクマ・イノシシ・シカを名指ししているので、「クマ対策として使えるのか」で迷う必要もありません。
岩手県そのものにも「鳥獣被害防止総合対策交付金」があり、令和7年11月にはツキノワグマ対策の基本方針も改定されました。ただし、これは市町村や協議会を通じた間接支援です。住民が県に直接申し込む電気柵補助は、県公式では確認できませんでした。まずは自分の住む市の窓口を見る、と覚えておきましょう。
岩手県内の補助制度いちらん表
→ 花巻市だけが「一般住民可」。北上市より下は農業者向けです。
10市の状況を、対象者とクマの扱いで並べました。数値は各市公式の記載を要約したものです。
| 市 | 制度名 | 対象者(クマ明記) | 補助率・上限/年度・受付 |
|---|---|---|---|
| 花巻市 | 有害獣対策事業補助金 | 一般住民可・補助ごとに条件(クマ明記あり) | 電気柵3分の2〜4分の3ほか/令和8年度(2026年度)通年受付 |
| 北上市 | 電気柵設置事業費補助ほか | 農業者(電気柵)(クマ明記・パッケージ) | 電気柵3分の2/令和8年度・予算次第 |
| 盛岡市 | 電気柵設置費等補助 | 農業者(クマ明記なし) | 3分の1・上限10万円/年度受付は要確認 |
| 一関市 | 有害獣侵入防止柵設置事業費補助金 | 農業者(クマ明記なし) | 3分の1・上限10万円/令和8年度は要確認 |
| 奥州市 | 電気柵設置事業補助金 | 農業者(クマ明記なし) | 2分の1・上限5万円/令和8年度は7月3日で受付終了 |
| 宮古市 | 有害鳥獣被害防止対策事業費補助金 | 農業者(クマ明記なし) | 3分の2/年度受付は要確認 |
| 大船渡市 | 電気柵等資材購入支援事業費補助金 | 農業者(クマ明記なし) | 2分の1・上限10万円/令和8年度は12月25日まで・購入前申請 |
| 遠野市 | 電気牧柵設置補助 | 農業者・農作物被害防止(クマ明記あり) | 用途で2分の1〜5分の4/令和8年度は受付制限中 |
| 二戸市 | 農産物鳥獣被害対策事業費補助金 | 販売目的の農業者(クマ明記なし) | 電気柵上限20万円/令和8年度・受付は要確認 |
| 久慈市 | 電気柵の直接補助は公式で確認できず | ― | ― |
花巻市が「一般住民可」、北上市以下が「農業者向け」。この線引きが岩手県の特徴です。
花巻市:18歳以上の市民なら、スプレーから電気柵まで
→ スプレーは18歳以上の市民、電気柵と伐採は土地の所有者などが使えます。農家かどうかは問われません。
農家でなくてもクマ対策に使える、岩手で一番わかりやすい制度です。花巻市の「有害獣対策事業補助金」は、対象獣がツキノワグマ・イノシシ・シカ。補助は3本立てで、申し込める人が補助ごとに分かれます。スプレーは市内在住18歳以上の個人・市内の事業所や団体の職員が、電気柵と伐採は市内の土地の所有者・占有者(土地を実際に使っている人)・管理者が申し込めます。どれも農業者でなくても使える点が、県内のほかの市と決定的に違います。農業で生計を立てていなくても、家庭菜園などで申請できることは、市への確認でも確かめました(花巻市への確認による・2026年7月時点)。
補助は3本立てです。用途に合わせて選べます。
- ツキノワグマ撃退スプレー:4分の1(上限5,000円/本)=市内在住18歳以上の個人・事業所や団体の職員が対象
- 電気柵の資材:3分の2〜4分の3(上限なし)=土地の所有者・占有者・管理者が対象
- カキ・クリの伐採:2分の1(上限15万円/本。自分で伐採する場合は2,000円/本)=土地の所有者・占有者・管理者が対象
とくに電気柵の補助率は3分の2〜4分の3と高く、上限額の設定がありません。庭や畑をぐるりと囲むような設置でも、資材費の多くをカバーできます。クマを呼び寄せる柿や栗の木を切る費用まで見てくれるのも、県内では花巻市の特徴です。
受付は令和8年4月1日から新しい要件になり、通年で受け付けています。以前あった「1年に何件まで」という件数制限も廃止されました。年度の途中でも申し込みやすくなった、と考えていいでしょう。
申請の順番は補助ごとに違います。電気柵は見積書をとって申請し、交付決定を待ってから購入します(先に買うと対象外)。クマ撃退スプレーは買った後に領収書で申請できます(花巻市への確認による・2026年7月時点)。どちらも予算の範囲内で先着のため、早めの申請が安心です。詳しくは花巻市公式(https://www.city.hanamaki.iwate.jp/kurashi/anshin_anzen/choju_sanrin/1000719.html)で確認しましょう。
北上市:クマ対策の“支援メニュー”が県内で最も充実
→ メニューは県内で一番多いです。ただし電気柵の補助は農業者向けです。
「電気柵だけでなく、クマ対策をまとめて考えたい」なら、北上市が参考になります。北上市はクマ対策を一つのパッケージとして整えていて、電気柵の補助に加えて、クマ撃退スプレー、放任果樹(手入れされず実がクマを呼ぶ木)の伐採、狩猟免許の受験料、さらに商工業者向けのクマ対策設備補助まで用意しています。県内でメニューがいちばん多いのが北上市です。
ただし、電気柵の補助そのものは農業者向けです。対象は市内の農地の所有者・耕作者で、市外に住んでいても市内に農地があれば申し込めます。補助率は対象経費の3分の2。協議会の予算がなくなり次第、受付を終える仕組みです。なお令和8年度は上限撤廃・補助率引き上げという報道もありますが、公式ページには上限額の記載がないため、実際の条件は市に確認してください。スプレーや果樹伐採など電気柵以外のメニューは、対象者が制度ごとに違います。一般の住民が使えるものがあるかは、各制度のページで確かめましょう。
予算枠の落とし穴:奥州市はもう今年度分が終了
→ 奥州市の令和8年度分は2026年7月3日で受付終了。遠野市も受付制限中です。
岩手の補助金でいちばん気をつけたいのが、予算枠による早期終了です。「制度がある」=「今から申し込める」とは限りません。
その代表が奥州市です。奥州市の電気柵設置事業補助金(資材費の2分の1・上限5万円)は農業者向けですが、令和8年度分は2026年7月3日に受付を終えました。予算に達したためです。年度が始まってからわずか3か月で締め切られた計算になります。次年度の受付がいつ始まるかは公式に明記されていないため、使いたい人は早めに市へ問い合わせておくと安心です。
遠野市も同じ注意が必要です。遠野市の電気牧柵設置補助はツキノワグマ・ニホンジカを名指しし、用途によって補助率が2分の1〜5分の4と手厚いのが特徴。ですが令和8年度は予算上限に達し、受付制限中と案内されています。購入前の相談が必須なので、柵を買う前に必ず市へ連絡してください。買ってから相談しても、補助が受けられないことがあります。
奥州市も遠野市も、制度そのものは良い内容です。それでも「年度の早い時期に動かないと枠が埋まる」という現実があります。使うと決めたら、まず受付状況の確認から始めましょう。
公式で見つからなかった久慈市は問い合わせを
→ 公式では確認できませんでした。制度が無いとは限りません。農林担当課へ電話を。
久慈市は、電気柵や侵入防止柵の“直接補助”が公式サイトで確認できませんでした。調査時にサーバーの証明書が期限切れで、一部のページを開けなかったためです。これは「制度が無い」という意味ではありません。
久慈市にも鳥獣被害防止計画があり、狩猟免許の取得費補助などの取り組みはあります。柵の補助が載っていないだけの可能性も、国の交付金を集落単位で使っている可能性もあります。
まずやること
- 庭や畑のクマ・イノシシ対策で柵を考えているなら、久慈市の農林担当課へ電話
- 番号は「久慈市 農林 電話」で検索、または市役所の代表電話から担当へ
- 聞き方は「個人で使える設置補助はありますか」「クマ対策の柵は対象ですか」。対象者とクマの扱いをセットで確認すると早いです
申請前に必ず確認したい3つのこと
→ 「自分が対象か」「買う前に申請が要るか」「予算枠は残っているか」の3点を確かめてください。
岩手県の補助は市ごとに条件が細かく違います。申し込む前に、次の3点だけは各市の窓口で確かめてください。
1つ目は、自分が対象者に入るか。農業者限定の市が多いため、一般住民として使えるかは最初に確認する点です。花巻市のように農家でなくても使える市は例外だと考えておきましょう。2つ目は、購入・工事の前に申請が必要か。大船渡市や遠野市のように「購入前の相談・申請が必須」の市では、先に買うと補助が受けられません。主役の花巻市も、電気柵は「見積書をとって申請→交付決定→そのあと購入」の順で、交付決定より前に買うと対象外です(花巻市への確認による・2026年7月時点)。一方でクマ撃退スプレーは、買った後に領収書で申請できます。補助ごとに順番が違うので、電気柵は必ず交付決定を待ってから買ってください。3つ目は、年度と予算枠。奥州市が7月に締め切ったように、埋まれば年度の途中でも受付は終わります。花巻市も予算の範囲内で先着のため、早めの申請が安心です。
花巻市以外に住んでいて「農業者限定」と書かれていても、そこであきらめる必要はありません。市によっては、住民向けのスプレー補助など別のメニューが用意されていることもあります。担当課に電話して、「個人で使える補助はありますか」「クマ対策の柵やスプレーは対象ですか」と、対象者とクマの扱いをセットで聞いてみてください。窓口は「(市名) 農林 電話」で検索するか、市役所の代表電話から農林担当につないでもらえます。
数値や受付期間は年度替わりで変わることがあります。ここに載せた内容も2026年7月12日時点のものです。動く前に、必ず各市の最新ページを開いて確認してください。
まとめ:岩手のクマ・電気柵補助のポイント
✅ 農家でなくても使えるのは花巻市(スプレーは18歳以上の市民、電気柵・伐採は土地の所有者など)
✅ 花巻市はスプレー4分の1・電気柵3分の2〜4分の3(上限なし)・伐採2分の1の3本立て
✅ 花巻市は令和8年度(2026年度)から通年受付・件数制限も廃止
✅ 北上市はクマ対策の支援メニューが県内で最も充実(電気柵は農業者向け)
✅ 奥州市はR8受付が2026年7月3日に終了・遠野市も受付制限中=予算枠に注意
✅ 久慈市は公式で確認できず→農林担当課へ問い合わせ
まずは自分の市が「農家限定か・一般住民も使えるか」を確認するところから。花巻市ならスプレーは18歳以上の市民が、電気柵は土地の所有者・管理者などが申し込めます。予算枠は年度の途中で埋まるので、使うと決めたら早めに公式ページを開きましょう。
▶ 他の県のクマ・電気柵補助金もチェック →全国のクマ対策補助金の探し方
※ 本記事の情報は2026年7月12日時点のものです。補助の対象・上限・受付期間は変更される場合があります。申請前に必ず各市の公式サイト・担当課でご確認ください。


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