「調べても農家向けの制度ばかりで、自分が使えるのか分からない…」
そんな岐阜県の方へ、市町村ごとに“誰が使えるか・クマは対象か”までまとめました。
岐阜県には、電気柵や防護柵に補助を出す市町村が9つあります。ただし、そのすべてが「農業を営む人」向けです。しかも制度の目的はイノシシやシカなどによる農作物の被害を防ぐことで、対象の動物に「クマ」と書いた自治体は、今回調べた範囲では見当たりませんでした。庭先のクマ対策として一般の住民が申し込める柵の補助は、確認できていません。
電気柵はクマにも物理的に効きます。県も、果樹園などのクマ被害には「まず電気柵を」と案内しています。ただ「クマ専用の補助」や「クマ向けと書かれた補助」があるわけではない、というのが正直なところです。
- 岐阜県内10市町村の柵補助を「対象者」「クマ明記の有無」で一覧化
- 高山市の制度(団体・集落が前提/個人単独では使いにくい理由)
- 郡上市の落とし穴(令和8年度は締切10/30・すでに上限到達の表記あり)
- 白川村など公式で見つからないときの問い合わせ先
※ 各市町村の公式サイトをもとに作成。確認日:2026年7月12日時点。数値・対象は年度替わりで変わるため、申請前に各担当課で再確認してください。
まず結論:岐阜で“クマ向け・一般住民向け”の柵補助は見当たらない
→ 9市町村に柵の補助はありますが、すべて農業者向け。クマを対象と明記した制度はありません。
岐阜県内で柵の補助が確認できたのは、高山市・飛騨市・下呂市・郡上市・中津川市・恵那市・関市・美濃市・揖斐川町の9市町村です。数だけ見ると多く見えます。ただ中身は、どれも「農作物の被害を防ぐ」ための制度。申し込めるのは農業者や、その集まり(農事組合など)に限られます。
庭や自宅まわりのクマ対策として、農業をしていない一般の住民が使える柵の補助は、今回の確認では見つかりませんでした。「無い」と断定はできませんが、少なくとも公式サイト上ではっきり案内している自治体はありません。
対象の動物に「クマ」と書いた自治体もゼロでした。岐阜の電気柵補助は、イノシシ・シカ・サルを想定したものです。電気柵の単価は動物の種類を問わず共通で運用されているので、結果としてクマにも使える形にはなっています。ただ「クマ対策として使えますか」は、各市町村の農務課に直接聞くのが確実です。
岐阜県内の補助制度いちらん表
→ どの市町村も対象は「農業者」です。農業者の個人でも申し込めるのが飛騨市・下呂市・関市・揖斐川町など、団体・集落が前提なのが高山市・恵那市です。
10市町村の状況を、対象者とクマの扱いで並べました。数値は各市町村公式の記載を要約したものです。
| 市町村 | だれが使える | 補助率・上限 | クマの扱い・受付 |
|---|---|---|---|
| 高山市 ※運営者が市へ直接確認 | 農業者の団体(個人不可・50a以上) | 国庫10/10ほか・電気柵148円/m等 | 獣種不問=クマ対策も可(市に確認・令和7年度) |
| 飛騨市 | 農業者の個人・法人・団体 | 資材費1/2・個人上限10万円 | クマ明記なし・年度明示なし |
| 下呂市 | 農業者(個人〜集落) | 電気柵個人1/3上限5万ほか | クマ明記なし・4/1〜12月末 |
| 郡上市 | 農業者(複数人設置) | 電気柵1m340円上限ほか | クマ明記なし・R8締切10/30(上限到達表記) |
| 中津川市 | 農業団体・農業者 | 10/10ほか・市単独上限2万円 | クマ明記なし・年度明示なし |
| 恵那市 | 集落が主体(個人不可) | 総資材費1/3以内 | クマ明記なし・年度明示なし |
| 関市 | 農業経営者・農業グループ | 1/2・個人上限5万円 | クマ明記なし・年度ごと申請可 |
| 美濃市 | 農業者の個人・団体 | 公式で確認できず | クマ明記なし・年度明示なし |
| 揖斐川町 | 農業者限定 | 個人設置上限4万円 | クマ明記なし・当該年度 |
| 白川村 | ― | ― | 村独自の柵補助は公式で確認できず |
※制度名:高山市=侵入防止柵設置補助(国庫+市単独)/飛騨市=野生動物侵入防止施設補助ほか/下呂市=防護柵等の経費助成/郡上市=獣害対策補助事業(防護柵)/中津川市=鳥獣被害防止整備・設置事業/恵那市=農作物被害防止対策補助金/関市=有害鳥獣被害対策事業補助金/美濃市=有害鳥獣被害防止補助金/揖斐川町=鳥獣被害防止対策事業補助金。
見てのとおり、クマの扱いはすべて「明記なし」。対象者もすべて農業者向けです。この2点が岐阜県の特徴です。
一般住民が使える制度は?:正直に「農業者向けが中心」
→ 農業をしていない人が庭のクマ対策に使える柵補助は、確認できませんでした。
岐阜県内の柵補助は、9市町村すべてが「農作物の被害を防ぐ」ための制度です。そのため、申し込みには「農地を耕作している」「農業者の団体に入っている」といった条件が付きます。庭や自宅まわりだけのクマ対策として、一般の住民がそのまま使える柵補助は見つかりませんでした。
比較的間口が広いのは飛騨市です。市内で農水産物を生産する個人も対象で、資材費の2分の1・上限10万円が案内されています。とはいえ「農水産物を生産する」ことが前提なので、まったく農業に関わらない住民が使えるかは、市の鳥獣被害対策サポートセンターに確認したほうが確実です。
「うちはクマだけが心配で、畑はやっていない」という場合、岐阜県内の柵補助はハードルが高いのが実情です。この場合は、次の高山市の項目や、ハブ記事で紹介している他県・国の制度もあわせて見てみてください。
高山市:地元の制度は“団体・集落”が前提
→ 高山市の柵補助は、クマ対策にも使えます(動物の種類は問わない)。ただし個人では申し込めず、農業改良組合などの団体単位・50アール以上が条件です。
まちトク運営者の地元・高山市には、侵入防止柵を設置するときの補助が2本あります。1つは国のお金を使う「鳥獣被害防止総合対策」、もう1つは市が単独で出す「農作物獣害防止対策事業」です。電気柵・ネット柵・金網柵・ワイヤーメッシュ柵(金網状の柵材)が対象になります。
この補助は今も実施中です。ただし、どちらも申し込めるのは「農業改良組合や、農業者でつくる団体」です。個人1人では申し込めません。 対象は農地への対策なので、庭や自宅まわりだけを守りたい一般住民が単独で使うのは難しい設計です。なお、同じ地区の中であれば、離れた飛び地の農地をまとめて申し込むこともできます。
国のお金を使うほうは、対象になる経費の10分の10以内(全額。自分で設置する場合は資材費に相当する定額)が出ます。上限の単価(1メートルあたり)は、柵の種類ごとに次のように決められています。
- 電気柵:148円
- ネット柵:1,090円
- イノシシ用の金網柵:1,970円
- ワイヤーメッシュ柵:1,290円
- シカ用の金網柵:2,790円
市が単独で出すほうは、農地のまとまり方に応じて補助率が上がります。点在する農地(おおむね50アール以上)は2分の1、50アール以上の集団農地は3分の2、集落地域ぐるみなら4分の3です。いずれも50アール以上がひとつの目安になります。
資料そのものに「クマ」の文字はありません。ただ、市に問い合わせて確かめたところ、「農地への対策なので動物の種類は問わない。クマ対策でも使える」との回答でした。狙いはイノシシなどの鳥獣ですが、クマ除けの柵にも使えるということです。この一次資料は令和7年度(2025年度)版なので、令和8年度の単価や予算は市の最新ページでも確認してください。詳しくは高山市の令和7年度農業振興補助事業概要(https://www.city.takayama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/022/363/r7hojyojigyo.pdf)で確認できます。
【地元メモ】筆者は高山市在住です。実際に市へ問い合わせたところ、「農地への対策なので動物の種類は問わない。クマ対策でも使える」と教わりました。ただし個人では申し込めず、農業改良組合などの団体単位で、農地は50アール以上が目安とのこと。同じ地区内なら離れた飛び地の農地もまとめて対象になるそうです。次の一手は、農業改良組合や地域の農家仲間と相談すること。組合が分からなければ、市の農務課に「クマ対策の柵は使えるか」「どの組合に入ればよいか」を聞くのが早道です。(高山市への確認による・2026年7月時点)
問い合わせた際の担当の方の対応は丁寧で、その場ですぐに答えてくれました。市内では防災無線でクマの出没情報が頻繁に流れており、これは周辺の地域でも同じ状況です。
郡上市の落とし穴:令和8年度は“すでに上限到達”の表記あり
→ 令和8年度分は締切10月30日ですが、公式に「上限到達」の表記があります。動く前に受付状況の確認を。
郡上市には、防護柵の材料費を助成する「獣害対策補助事業」があります。電気柵・トタン・ネット・ワイヤーメッシュなどが対象です。岐阜県内では珍しく令和8年度(2026年度)版がすでに公開されていて、締切は令和8年10月30日(金)と案内されています。
ここで注意したいのが予算枠です。郡上市の令和8年度分には、公式ページに「上限に到達した」という趣旨の表記があります。締切の日付だけを見て準備を進めても、窓口で「今年度分はもう受け付けられない」となる可能性があります。補助は各農事改良組合の組合長を通して申し込む形で、原則として複数人で設置した柵が対象です。電気柵は1メートルあたり340円が上限(100円を超える分は半額を加算・千円未満切り捨て)と案内されています。
補助金には「締切前でも予算がなくなれば終わる」ものがあります。郡上市はその実例です。申し込みを考えるなら、締切の日付より先に「今、まだ受け付けているか」を市に確認するのが確実です。
岐阜県そのものには“直接補助”がない
→ 県は国のお金を市町村に配る窓口です。住民が県に直接申し込む柵補助はありません。
「県の制度はないの?」と探す方もいるかもしれません。岐阜県には、県が農業者へ直接、柵の費用を補助する制度は公式ページ上で確認できませんでした。県がやっているのは、国の「鳥獣被害防止総合対策交付金」を市町村を通して使う枠組みです。箱わな・緩衝帯・防護柵の設置を、この国のお金で支えています。
クマの果樹園被害などには、県も「まず電気柵を」とマニュアルで案内しています。ただ、これは「県がお金を出す」という話ではありません。実際の申し込み窓口は、すべて市町村です。まずは自分の住む市町村の農務課を見る、と覚えておきましょう。
白川村など公式で見つからない自治体は問い合わせを
→ 白川村は柵補助の制度ページが確認できませんでした。制度が無いとは限りません。村へ電話を。
白川村は、村独自の柵補助が公式サイトで確認できませんでした。これは「制度が無い」という意味ではありません。村は鳥獣被害防止計画にもとづいて電気柵・ワイヤーメッシュ・複合柵の運用はしていて、柵の設置や捕獲は行っています。ただ、住民や農業者に向けた「補助制度」のページが、今回は特定できませんでした。
白川村は面積の95パーセントが森林で、クマとの距離が近い地域です。柵を考えているなら、村の基盤整備課へ直接聞くのが確実です。聞き方は「個人で使える柵の設置補助はありますか」「クマ対策の柵は対象になりますか」。対象者とクマの扱いをセットで確認しましょう。
美濃市も、制度があること自体は公式の案内で確認できましたが、補助率・上限額の詳細ページにたどり着けませんでした。同じように、市の農林担当課へ電話で確かめるのが早道です。
申請前に必ず確認したい3つのこと
→ 「自分が対象か」「買う前に申請が要るか」「予算枠は残っているか」の3点を確かめてください。
岐阜県の柵補助は市町村ごとに条件が細かく違います。申し込む前に、次の3点だけは各市町村の窓口で確かめてください。
1つ目は、自分が対象者に入るか。岐阜はほぼ全市町村が農業者向けで、高山市や恵那市のように「団体・集落でないと使えない」ところもあります。一般住民として使えるかは、最初に確認する点です。2つ目は、買う前に申請が要るか。恵那市のように「資材を買う前の申請が条件」の自治体では、先に買うと補助が受けられません。3つ目は、年度と予算枠です。郡上市のように、締切前でも予算に達すると受け付けが終わる制度があります。
数値や受付期間は年度替わりで変わります。ここに載せた内容も2026年7月12日時点のものです。動く前に、必ず各市町村の最新ページを開いて確認してください。
まとめ:岐阜のクマ・電気柵補助のポイント
✅ 柵補助がある市町村は9つ。ただし全て農業者向けで「クマ対象」の明記はなし
✅ 庭先のクマ対策に一般住民が使える柵補助は、今回は確認できず(正直に)
✅ 高山市は農業者の団体・集落が前提=個人1軒では使いにくい
✅ 郡上市は令和8年度も締切10/30だが「上限到達」表記あり=受付状況を先に確認
✅ 岐阜県に直接補助はなし=窓口は市町村
✅ 白川村・美濃市など公式で見つからない自治体は農林担当課へ問い合わせを
まずは自分の市町村が「農業者限定か」「クマは対象か」を確認するところから。岐阜は農業者向けが中心なので、農業をしていない場合は他県・国の制度もあわせて見てみてください。年度と予算枠は動くので、申請前に公式ページを必ず開きましょう。
▶ 他の県のクマ・電気柵補助金もチェック →全国のクマ対策補助金の探し方
▶ 補助金・助成金のまとめから探す →補助金・助成金のまとめ
※ 本記事の情報は2026年7月12日時点のものです。補助の対象・上限・受付期間は変更される場合があります。申請前に必ず各市町村の公式サイト・担当課でご確認ください。


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